「今後1週間」の意味

 8月8日の日向灘沖地震で南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」を発表した気象庁は同日夜、地震火山技術・調査課長の束田進也氏が記者会見し、「南海トラフ地震の想定震源域では新たな大規模地震が発生する可能性が平常時より相対的に高まっていると考えられるが、(臨時情報は)特定の期間中に必ず発生することを伝えるものではない。政府や自治体からの呼びかけに応じた防災対応を取ってほしい」と説明しました。

 また、評価検討会の平田直氏は「マグニチュード7以上の地震が発生した後、7日以内にマグニチュード8以上の大規模地震が発生するのは数百回に1回程度だが、異常な現象が観測される前の状況に比べて数倍高くなっている」と指摘。次の巨大地震は必ず起きるものではないが、今後1週間は次の地震への備えを怠らないでほしいと訴えました。

 なお、「1週間」というのは、後発地震の発生の可能性とそれに備える社会の受忍の限度を踏まえて導き出された期間で、中央防災会議の「南海トラフ地震防災対策基本計画」(2019年)にその考えが盛り込まれています。1週間が経過すれば、地震発生の可能性が消えるわけではありません。

 南海トラフ地震の発生確率は今後30年間で70〜80%とされている通り、何の前兆もなく、突然、巨大地震に見舞われる可能性は常に存在しているのです。その点、注意が必要です。