「巨大地震注意」発表、「巨大地震警戒」なら事前避難も

 南海トラフ臨時情報とは、どのような仕組みなのでしょうか。

 南海トラフの想定震源域やその周辺でM6.8以上の地震や通常とは異なるスロースリップ地震が観測されるなどすると、気象庁は発生から30分以内に地震の専門家らによる評価検討会を開始。同時にその事実を「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」という表現で公表します。

 8月8日午後4時42分に起きた日向灘沖地震の震源は、南海トラフ地震の想定震源域の西端に位置しています。また、地震の規模はM7.1で、検討会開始の要件である「M6.8以上」を満たしていました。このため、気象庁は午後5時ごろ、評価検討会(会長=平田直・東京大学名誉教授)を開き、今回の地震の評価に着手しました。

 検討会では、その地震に続けて別の巨大地震が起きるかどうかを科学的な観測データなどに基づいて評価します。その結果、M8以上の巨大地震が起きると考えられる場合は「巨大地震警戒」、M7以上の地震や異常なスロースリップが起きると考えられる場合は「巨大地震注意」が発表されます。

 今回の日向灘沖の地震では、後者の「注意」が発表されました。この「注意」が出ると、住民は避難経路や家族らとの連絡方法の再確認、防災用品の再点検などを行い、「地震が発生したらすぐ避難できるための準備」をしっかりと行うことが求められます。また、関係自治体や警察・消防・自衛隊なども出動に備えた態勢を整えることが必要になります。

「警戒」が出た場合はどうでしょうか。

 この場合、住民は「地震が発生したらすぐ避難できるための準備」に加え、海岸近くに住んでいる人や高齢者など、地震発生後すぐに行動を起こしても避難できない人は「事前避難」を行うことが求められます。

 一方、検討会の結果、大きな地震が続けて起きる可能性が少ない場合は「調査終了」という発表が行われます。