(歴史家:乃至政彦)
弥助騒動から離れて
SNSで、織田信長に召し抱えられた黒人の「弥助」が注目を集めている。
発端は「アサシンクリードシャドウズ」(ユービーアイソフト、2024)という弥助をメインキャラとするゲームだが、詳細はインターネット検索すればいくらでも出てくるので割愛したい。
弥助の史料について、現在多くの識者が知見を披露しておられるが、まだ終着点は見えない。議論は、弥助が侍だったかどうかに重点が置かれがちである。
私は当初この問題に白黒つける必要はないと考えていたが、学説の
多方面が互いを敵視している現状を遺憾に思う。このため、「
それはさておき、日本の歴史人物でも「
それよりも重要なのは、「弥助をはじめとして日本に黒人奴隷が一般化した」「弥助は大黒天のように崇敬された」などといった海外で広まっている珍説を否定することであって、新たな問題を作り出し、主導権の握り合いをすることではない。
私は無学不才の身であるので、この議論に参加するつもりはなく、頭のいい皆さんに任せたいと思う。とはいえせっかくの機会なので、息抜きまでに、弥助に関して、誰にでも当たれる史料を使って、あまり役に立ちそうにない独自の見解を提示してみたい。