第一次トランプ政権と今で決定的に異なる金融環境

 例えば、ブレーン次第で政策運営は変わるという声はある。常々言われていたことだが、トランプ氏は経済政策について定見があるようでないという疑いが強い。

 筆者が最近話した米大手機関投資家の幹部からは「トランプ氏は非常に良く話を聞く人」という評を耳にした。まさに「定見がない」ということだろう。だとすれば、まだ明らかになっていない副大統領や大統領経済諮問委員会(CEA)委員長、財務長官といった側近人事の陣容次第でトランプ政権の方向性も変わり得る。

 インフレ抑制が急務の米国社会の現状を踏まえれば、トランプ氏の高圧経済的なポリシーミックスを推奨しないブレーンが用意される可能性もなくはない。

 とはいえ、何が起きるか分からなかった前回と違って今回は4年間の執政実績がある。経済実勢はさておき、米国第一主義を掲げるトランプ氏の基本姿勢が大きく変わるとは考えにくい。その姿勢に沿って側近の人選も進められ、大きな想定外は生じにくいと考えるのが現状では基本だろう。

 ただし、第一次トランプ政権は利上げ局面での執政だったが、第二次トランプ政権は利下げ局面での執政になる。そもそも前提が違うので前回とは違ったドル相場になるというシンプルな見方もあり得る。

 トランプ氏の挙動とは無関係に米金利低下とドル安が淡々と進むというのがエコノミストとして一番真っすぐな予想だ。

 ちなみに、在任期間中、トランプ氏は「基本的に私は低金利が好きだ」と会見で述べ注目されたことがあった。これは当時が利上げ局面でトランプ氏の志向とは齟齬があったゆえ、半ばあてつけのような発言であった。

 だが、今回は利下げ局面であり、むしろ「FRB利下げ→低金利→ドル安」という一点だけを捉えれば、ファンダメンタルズとトランプ氏の政策信条は合致する。通貨・金融政策とトランプ氏の信条が重なればドル安という潮流に繋がるだろう。