大統領選後のドル/円相場の基本シナリオ

 こうしたトランプ氏の分かりやすいイメージに加え、年初の本コラム「2024年の円相場の大きな変数、米大統領選で円安、円高のどちらに振れるのか?過去の経験則から見える『選挙前はややドル安・円高、選挙後はドル高・円安』」でも議論したように、そもそも大統領選挙後のドル/円相場は勝利政党にかかわらずドル高・円安に振れやすかったという史実も考慮したい(図表①)。

 こうした状況を踏まえ、「米大統領選挙は円安再起動の契機になる」というのが筆者の年初からの想定である。9月までにFRBが利下げ着手を織り込ませ、ドル安に振れることがあったとしても、「トランプ後の米国経済では追加利下げ困難」という展開が待っているように思える。

 もっとも、「皆がそう思っていることはそうならない」というのが金融市場の常でもある。

 2016年11月の時も「万が一、トランプ大統領が当選すればリスクオフムードと共に株は急落し、円相場は急騰する」と言われていた。しかし、実際には当選結果を受けてドル/円相場も株価も急騰した。理由は上述した通り、トランプ政権の経済政策は物価・賃金情勢を押し上げるという側面が意識されたためだった。

 今回は多くの市場参加者が「トランプ再選でインフレ圧力再燃、よって米金利とドルは上昇」と思い込んでいるだけに、そうならないリスクも気にしたいところである。

 現実的に考えて、そのリスクはあるのだろうか。