ウクライナの都市ハルキウ攻撃に使われた北朝鮮製ミサイルの残骸(1月6日、写真:ロイター/アフロ)

 北朝鮮は弾道ミサイル開発と実験を継続している。

 その一つである短距離弾道ミサイルについて、ウクライナの情報によると、ウクライナに向けて発射された北朝鮮製弾道ミサイルの半数程度が途中で空中爆発しているという。

 また、北朝鮮製砲弾が不発や砲口前爆発を起こして、トラブルが多数発生しているという。つまり、北朝鮮製のミサイルや砲弾には不良品が多いということである。

 北朝鮮兵器が、見た目は良くても実戦で使いにくい不良品であるならば、部隊の実際の訓練練度はどうなのか気になるところである。

 形としての訓練はできていても、戦争の現実に合う、敵と戦って勝利できる訓練を実施しているのだろうかと疑問が生じる。

 そこで、今年3月に実施した砲兵部隊の訓練の発表内容と射撃訓練の写真を改めて分析した。

 これまで、北朝鮮軍の空挺部隊と戦車部隊の訓練について、写真から実態について分析した記事をJBpressに投稿した。この記事と併せて読んでほしい。

①「北朝鮮が戦車部隊の実戦演習で見せた、涙ぐましい背伸びの実態」(4月12日)
②「自衛隊の空挺部隊元指揮官が明かす、北朝鮮軍のお粗末すぎる空挺作戦」(4月8日)

1.誰もが恐れる世界最強の砲兵に成長した?

 朝鮮中央通信によれば、今年(2024)3月7日、北朝鮮軍は大連合部隊の砲撃訓練を行った。

 その際、金正恩総書記が軍大連合部隊の砲撃訓練を指導した。

 訓練は、砲兵の戦闘動員態勢と実戦能力を向上させる目的で、砲兵部隊の火力打撃能力を威力示威と競技という方法で点検、評価したという。

 訓練は、敵の首都(ソウル)を打撃圏内に入れる国境線付近の長距離砲兵分隊の威力示威射撃で始まった。

 抽選で定められた射撃順序に従って各大連合部隊から選抜された砲兵分隊が火力陣地を占め、目標を射撃した後、命中した砲弾数と火力任務遂行にかかった時間を総合して順位を決める方法で行われた。

 その時、金正恩氏は、独創的な砲兵重視観、砲兵哲学を明示し、主体的砲兵武力を強化する指導によって誰もが恐れる世界最強の兵種に成長したと言った。

 北朝鮮が発表したこれらの内容については、戦理を得ていると思われる。だが、北朝鮮が発表した写真は、主張していることと真逆であるように見える。

 以下、細部について分析する。