2.滑稽ともいえる内容が多い砲兵射撃訓練
(1)海岸に並べ海に向かって射撃するのは、一般国民に見せるため
本来、自走砲と牽引砲からなる榴弾砲・加農砲・迫撃砲・多連装ロケット砲からなる砲兵部隊は、広域に展開して、一つの地点に集中して射撃する。
広域に展開するのは、敵に発見されにくく、もし発見されても一度に多くの火砲がやられないためだ。
それも、北朝鮮が今回実施した海岸のような発見されやすい位置ではなく、山間部の錯雑地で発見されにくい場所を選定する。
さらに、火砲や関連車両はすべて偽装網の中に入れ、砲身の一部だけを外に出すだけである。
写真1 海岸付近に展開して射撃する砲兵部隊
北朝鮮の写真にあるように、海岸で発見されやすく、一列に並ぶ状態で射撃するのは、あくまで素人に見せるための展示演習だけである。
米軍や自衛隊の射撃訓練では、このようなことは絶対に行わない。
(2)砲が密集して射撃を行えば敵砲弾の餌食になる
火砲の射撃は、常に対砲レーダーやドローンから監視されている。
発見されれば、数分以内に反撃される。火砲が密集していれば、敵の数少ない砲弾だけで、多くの損害を受けることになる。
この北朝鮮の砲撃訓練の写真を見ると、火砲と火砲の間隔は1メートル以内である。
このようなバカげた射撃要領を見て喜ぶのは、金正恩氏だけだろう。
本来であれば、このような射撃を行ったことに対して厳しく叱責して、広域に展開させるように指導しなければならない。
写真2 あらゆる火砲が密集体形で射撃している様子
北朝鮮は、2017年頃から火砲の射撃を多数公表しているが、このような密集した隊形の写真ばかりで、実際の戦闘にはそぐわない訓練だ。