静岡県議会議長に辞職願を提出し、引き揚げる川勝平太知事(左)=10日午前、静岡市(写真:共同通信社)静岡県議会議長に辞職願を提出し、引き揚げる川勝平太知事(左)=10日午前、静岡市(写真:共同通信社)
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「毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり、物を作ったりとかと違って……」
 静岡県庁の新人職員に向けた訓示で職業差別ととられる発言をし、辞職願を出した静岡県・川勝平太知事。NHK報道によると、県に寄せられた批判の電話・メールの数は2400件を超えるという。川勝氏はこれまでも、物議を醸す発言を繰り返してきた。それでも県民に人気だったのはなぜか。スズキ・鈴木修氏はなぜ川勝氏を支援していたのか。そして、リニア中央新幹線の整備計画にどんな影響を与えるのか。長年、静岡県政を取材してきた元静岡新聞記者・ジャーナリストの小林一哉氏に話を聞いた。(JBpress)

時代の変化に気づいていない川勝知事

――川勝氏が10日、退職届を提出しました。当日の記者会見も、去り際まで川勝カラー全開という印象でした。

ジャーナリスト・小林一哉氏(以下、小林氏):いつもと変わらないという感じでしたね。川勝知事の記者会見は、いつもワンマンショーですから。

 いつもの記者会見と違っていたのは、メディアの側がお祭りのようになっていたくらいです。川勝知事の方は今までとまったく変わらず、好き勝手なことをしゃべっていました。

――記者団に細川ガラシャの辞世の句を披露したことにも、反発の声が上がりました。

小林氏:あれもいつもと同じです。自分の知識の中から、みんなが知らない教養を出してくるのもいつものパターンです。

 10日の会見でも、「カトリックは自殺するわけにはいかないが、辱めをうけないために死を決意された」などと、細川ガラシャに関する自分の知識を一生懸命披露されていましたね。

 川勝知事は、もう全部の知識は自分が一番上なんだというような感じでお話になる。だけど、そんなことは世の中ありえません。時代も変わりました。自分の知識をどんどん出しても、若い人たちは別に「参りました」とはならない。川勝知事自身は気がついてないんでしょう。そういうことがすごく多いんです。

――時代錯誤という意味では、まさに今回問題になった発言にも通ずる感じがあります。「県庁というのは別の言葉で言うとシンクタンクです。毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり、物を作ったりとかと違って、基本的に皆さんは頭脳・知性の高い方たちです」というこうした発想も、時代に取り残されている印象を受けます。

小林一哉(こばやし・かずや):ジャーナリスト。リニアなど静岡県の問題を追っている。著書に『食考-浜名湖の恵み』『静岡県で大往生しよう』『ふじの国の修行僧』(いずれも静岡新聞社)、『世界でいちばん良い医者で出会う「患者学」』(河出書房新社)、『家康、真骨頂 狸おやじのすすめ』(平凡社)など。『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘』(飛鳥新社)が最新著。現代ビジネス、プレジデントオンラインなどに記事を寄稿している。小林一哉(こばやし・かずや):ジャーナリスト。リニアなど静岡県の問題を追っている。著書に『食考-浜名湖の恵み』『静岡県で大往生しよう』『ふじの国の修行僧』(いずれも静岡新聞社)、『世界でいちばん良い医者で出会う「患者学」』(河出書房新社)、『家康、真骨頂 狸おやじのすすめ』(平凡社)など。『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘』(飛鳥新社)が最新著。現代ビジネス、プレジデントオンラインなどに記事を寄稿している。