「毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり、物を作ったりとかと違って……」
静岡県庁の新人職員に向けた訓示で職業差別ととられる発言をし、辞職願を出した静岡県・川勝平太知事。NHK報道によると、県に寄せられた批判の電話・メールの数は2400件を超えるという。川勝氏はこれまでも、物議を醸す発言を繰り返してきた。それでも県民に人気だったのはなぜか。スズキ・鈴木修氏はなぜ川勝氏を支援していたのか。そして、リニア中央新幹線の整備計画にどんな影響を与えるのか。長年、静岡県政を取材してきた元静岡新聞記者・ジャーナリストの小林一哉氏に話を聞いた。(JBpress)
>>>【前編】静岡県・川勝平太知事はなぜ人気だったのか?「川勝ウォッチャー」が見た、スズキ鈴木修氏との関係・辞任の裏側
退職金辞退、副知事を道連れにしておいて……
――川勝知事はこれまで、数々の不適切発言に加え、退職金をめぐっても県議会でひと悶着ありました。
ジャーナリスト・小林一哉氏(以下、小林氏):川勝知事は1期目、退職金辞退を選挙公約に掲げ、実際に受け取りませんでした。4070万円の退職金です。退職金返上に関する条例案を作り、県議会で可決されました。
ところが2期目以降、川勝知事は「報酬審議会がもらってくれと言っている」などという理由を付け、退職金を受け取る方針に転換しました。
2期目からはもらうのかよ、という話ではありますが、それ自体は別に法に触れることでも何でもありません。受け取るのは自由だと思いますが、問題は、副知事だけが退職金の受け取りを辞退し続けてきたことです。
川勝知事の任期中に就任した3人の副知事はいずれも退職金をもらっていません。彼らの退職金は川勝知事の半分の2000万円くらいです。
知事から直接「お前も受け取るなよ」と言われたかはわかりません。本人たちは表向きには否定しています。ですが、忖度はあったでしょう。ボスが退職金を受け取らない意向を示している中で、知事に指名される副知事が「自分は受け取ります」と言えるはずがありません。
実質的に退職金辞退を副知事たちに強いながら、自身だけは受け取る方針に転換してしまったということなのです。
――4期目は任期途中での退任となりますが、今期はどのような方針でしょうか。
小林氏:意向を明確にしていません。退職金辞退は政治家のパフォーマンスですから、言わないということは、普通に考えれば受け取るのだろうと思います。