昨年11月15日、カリフォルニアで開かれたAPEC首脳会議に合わせて開催された米中首脳会談に臨むバイデン大統領と習近平主席(写真:ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 4月2日、バイデン大統領と習近平国家主席が電話で会談した。昨年11月にカリフォルニア州で行われた米中首脳会談以来のことである。会談は約1時間45分間行われ、「率直で建設的」だったという。

 ウクライナ戦争をめぐって米露関係は険悪な状態になっているが、米中関係は外交的には安定しているように見える。両国は、今後、世界をどのように変えようとしているのか。

バイデン-習近平 電話首脳会談の内容

 会談の具体的内容は、軍の対話の継続、AIについての対話の開始で合意し、違法薬物の流通阻止、地球温暖化対策などでも協力関係を強化するという。また、ブリンケン国務長官が数週間以内に、イエレン財務長官が3〜9日に訪中することも決まった。

 貿易関係については、バイデンは、中国の「不公正な貿易政策と市場原則に基づかない経済慣行」を問題にした。また、TikTokに関しても懸念を表明した。これに対して、習近平は「競争の名を借りて正当な発展の権利を奪うべきではない」として、アメリカによる制裁や規制を批判した。

 台湾や南シナ海については、バイデンは、中国による一方的な現状変更の試みを批判し、自制を求めた。これに対して、習近平は、台湾独立派を支持しないように求め、台湾問題を越えてはならないレッドラインだとして警告した。またバイデンは、南シナ海に関しても、フィリピン周辺での中国船による危険な行為に懸念を示し、法の支配と航行の自由の重要性を強調した。

 この電話会談が実現した背景には、両国の思惑がある。