(舛添 要一:国際政治学者)
4月2日、バイデン大統領と習近平国家主席が電話で会談した。昨年11月にカリフォルニア州で行われた米中首脳会談以来のことである。会談は約1時間45分間行われ、「率直で建設的」だったという。
ウクライナ戦争をめぐって米露関係は険悪な状態になっているが、米中関係は外交的には安定しているように見える。両国は、今後、世界をどのように変えようとしているのか。
バイデン-習近平 電話首脳会談の内容
会談の具体的内容は、軍の対話の継続、AIについての対話の開始で合意し、違法薬物の流通阻止、地球温暖化対策などでも協力関係を強化するという。また、ブリンケン国務長官が数週間以内に、イエレン財務長官が3〜9日に訪中することも決まった。
貿易関係については、バイデンは、中国の「不公正な貿易政策と市場原則に基づかない経済慣行」を問題にした。また、TikTokに関しても懸念を表明した。これに対して、習近平は「競争の名を借りて正当な発展の権利を奪うべきではない」として、アメリカによる制裁や規制を批判した。
台湾や南シナ海については、バイデンは、中国による一方的な現状変更の試みを批判し、自制を求めた。これに対して、習近平は、台湾独立派を支持しないように求め、台湾問題を越えてはならないレッドラインだとして警告した。またバイデンは、南シナ海に関しても、フィリピン周辺での中国船による危険な行為に懸念を示し、法の支配と航行の自由の重要性を強調した。
この電話会談が実現した背景には、両国の思惑がある。