4月17日、イスラエルを訪れたドイツのベアボック外相と会談したネタニヤフ首相(写真:picture alliance/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 イランとイスラエルの報復の応酬が始まった。

 まず4月1日に、イスラエルが、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館周辺を空爆、イランの革命防衛隊・コッズ部隊の司令官ら7人と民間人6人を殺害した。

 これに対する報復として、イランは、4月13日から14日にかけて多数の無人機とミサイルを使ってイスラエルを攻撃した。

 そして4月19日、詳細はまだ不明だが、今度はイスラエルがイランに対してミサイル攻撃を行ったと報じられている。

99%迎撃

 イランによる13日から14日にかけてのイスラエルに対する攻撃は、無人機約170機、巡航ミサイル30発以上、弾道ミサイル120発以上を使ったものだった。イスラエル軍は、これを99%迎撃したと発表している。

 迎撃には、アメリカ軍、イギリス軍、ヨルダン軍も参加した。また、サウジアラビアやUAEも情報提供に協力した。これらアラブ諸国は紛争の拡大を阻止するという目的のために動いたのである。

4月14日、ヨルダンの首都アンマン上空にも、イランがイスラエルに向けて飛ばした無人機が目撃された(提供:ロイター/アフロ)

 イランもまた、本格的にイスラエルと矛を交えることを望んではいない。イスラエルによる「イラン大使館」攻撃に対して、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は、「邪悪な政権は罰せられるであろう。罪を犯したことを後悔させる」と、報復を宣言していた。何もしないという選択肢は、国内的には成り立たなかった。

 ただし、迎撃しやすいように、攻撃開始をすぐに発表した。ドローンは1000km以上離れたイスラエルに到達するのに数時間必要なので、迎撃の準備が十分に可能である。また、攻撃目標から人口密集地を外すといった配慮もしている。