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(舛添 要一:国際政治学者)

 3月19日〜22日、北京に行ってきた。日本では少子化対策が大きな政治課題になっているが、中国でも同様で、このところ急に皆が心配し始めてきている。そこで、少子化問題に取り組んだ経験のある元厚生労働大臣として、北京の社会科学院で特別授業を行った。

予想より早く訪れた人口減少

 政府のシンクタンクである社会科学院は、実は2019年に「中国の人口がピークに達するのが2029年で、2030年から減少に転じる」という予測を出したが、その予測は外れた。2030年ではなく、2022年に人口が減少し始めたのである。具体的には、中国の人口は前年比で85万人も減少し、14億1175万人となった。

 中国の人口減少は、1961年以来、実に61年ぶりのことで、出生数は前年比106万人減の956万人であった。6年連続の減少で、人口1000人当たりの出生率は過去最低の6.77人であった。

 中国では、1960年代以降、人口が爆発的に増加したが、それにブレーキをかけるために、政府は、1979年に「一人っ子政策」を実行に移した。この政策は極めて効果的で人口増の抑制に成功したため、政府はこの人口抑制策を廃止し、2016年からは2人目、2021年からは3人目を解禁した。しかし、国民のほうは一人っ子政策を維持して、2人以上子どもを持つのに躊躇したままである。

 61年ぶりの人口減少という数字は、2023年1月に中国国家統計局が発表したものであるが、それ以来、人口減少、その原因である少子化についての議論が活発になっていった。そこで、今回、私が招かれて記念授業を行ったのである。