- 日産自動車とホンダが電動化・知能化で協業すると発表した。
- 当面は電気自動車(EV)のソフトウエアや部品の共通化などが主な内容だが、軽自動車の共同開発なども視野に入っているとみられる。
- 日産がアライアンスを組む三菱自動車も巻き込んだ「3社連合」に発展し、国内自動車業界はトヨタグループと2大勢力に大きく集約される可能性が高い。日産とホンダの協業の狙いを深掘り解説する。(JBpress)
(井上久男:ジャーナリスト)
日産自動車の内田誠社長とホンダの三部敏宏社長は3月15日、都内で共同記者会見し、自動車の電動化、知能化に向けて協業することを検討する覚書を締結したと発表した。
両社でこれからワーキングチームを作ってシナジー効果が出る分野の詳細を検討していく。当面の主題は電気自動車(EV)のソフトウエアや部品の共通化や相互補完などだが、協業のスコープは幅広く検討する。
軽自動車の共同開発も視野に入っている模様だ。これからEVや自動運転の時代を迎え、ソフトウエア開発などに莫大な投資が必要になるため、協業により、そのリスクを分散し合うことを狙う。
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特に日産については2018年の「ゴーン事件」後、本業では過剰設備の解消などリストラに追われてきた。さらには社外取締役を巻き込んだ内紛が起こっていたため、次世代を見据えた攻めの経営が進んでいなかった。ホンダとの協業により、その遅れを少しでも取り返したいとの思惑もあるのだろう。
15日の記者会見では触れられなかったが、協業する両社は最終的には、三菱自動車を巻き込んだ「3社連合」の結成を目論んでいると見られる。新たな連合が誕生すればグローバル生産台数(2023年)で約865万台となり、1151万台で世界1位のトヨタに迫る規模となる。
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日産は16年に三菱自動車に資本参加し、34%の株式を取得。両社の契約には10年間は株式を売却しない「ロックアップ」条項があるとされ、26年までに両社の資本関係は見直される可能性がある。さらに現在の日産と三菱自動車の関係を見た場合、具体的なビジネスで協業関係が深化しているわけではなく、日産が34%保有する意義があまり見出せていない。