異次元緩和からの出口を模索する植田日銀

 日本経済を異次元緩和という未知のステージへ導いた黒田氏は、2023年4月に退任し、新たに植田和男氏が就任しました。植田日銀は船出直後から、異次元緩和の世界をどう脱出していくかを模索しているようです。黒田時代の緩和策の一部を修正。次はマイナス金利の撤廃に動くだろうとの見方が広がっています。

「黒田バズーカ」は効果があったのか(写真:ロイター/アフロ)

 マイナス金利が適用された資金の残高はこの間、毎月おおむね20兆円台から30兆円台後半で推移してきました。40兆円を超えたこともあります。これだけの資金が企業活動や消費活動に向かわず、行き場を失っていたのです。異次元緩和の政策はマイナス金利だけではありませんが、象徴的な存在がどう取り扱われるのか。実質賃金がなかなか上昇せず、アベノミクスでうたわれた「トリクルダウン(大企業や富裕層から中小企業や低所得層まで富が波及すること)」を実感できない多くの国民にとって、日銀の動向からは目が離せません。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。

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