「バイデン対トランプ」再対決の行方は

 アイオワでのトランプ氏圧勝により、米国内の関心はすでに1月23日のニューハンプシャー州予備選に移っています。同州はアイオワよりリベラル色の強い地域で、共和党の候補の中ではヘイリー氏が追い上げているとの分析もあります。ヘイリー氏としては自らが知事を務めたサウスカロライナ州の予備選(2月24日)で勢いをつけ、15州で同時に予備選・党員集会が行われる3月5日の「スーパーチューズデー」に持ち込みたい考えです。

ニューハンプシャー州で遊説するヘイリー氏(写真:AP/アフロ)

 しかし、ニューハンプシャー州などでもトランプ氏の圧勝が続けば、ヘイリー氏ら他候補は次第に選挙運動の継続が難しくなり、撤退を余儀なくされるでしょう。スーパーチューズデーを待つことなく、共和党の大勢は決まってしまうかもしれません。ことしの大統領選は早々に「バイデン対トランプ」という構図が見えてくるでしょう。

 バイデン氏は大統領就任以来4年間の経済や外交政策などの成果をアピールする一方で、過激な発言が目立つトランプ氏の危険性を指摘し、再選を目指す構えです。

トランプ氏は81歳のバイデン米大統領を高齢だとして政権担当能力を疑問視するが、自身も77歳だ(写真:AP/アフロ)

 トランプ氏は、高齢のバイデン氏の政権担当能力を疑問視し、追い落としを図ります。「トランプ大統領」の再登場は米国内ではかなり現実的なシナリオとして語られるようになってきました。再登場となると、ウクライナ支援の打ち切りや、米中関係の冷却化、「アメリカ・ファースト」を掲げた保護主義政策の強化などが続くと予想されます。

 何が起こるか分からないと言われる米大統領選。まずは3月5日のスーパーチューズデーまでの動向に注目です。

西村 卓也(にしむら・たくや)
フリーランス記者。札幌市出身。早稲田大学卒業後、北海道新聞社へ。首相官邸キャップ、米ワシントン支局長、論説主幹などを歴任し、2023年からフリー。日本外国特派員協会会員。ワシントンの日本関連リサーチセンター“Asia Policy Point”シニアフェロー。「日本のいま」を世界に紹介するニュース&コメンタリー「J Update」(英文)を更新中。

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。

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