米国の金融政策を決める会合「FOMC」が2023年12月12〜13日に開かれます。新型コロナウイルスショック後、急ピッチに進めてきた利上げの局面が収束に向かうなか、今後は利下げに転じるタイミングに注目が集まっています。そもそもFOMCとはどのような会合なのか、やさしく解説します。(JBpress)
民間銀行が貸し借りする金利を誘導
FOMCとは(Federal Open Market Committee)の略で、日本語で訳すと米連邦公開市場委員会となります*1。FOMCは米国の金融政策の方針を決める最高意思決定機関のことで、日本では日本銀行の金融政策決定会合、欧州では欧州中央銀行(ECB)理事会にあたります。
*1:Federal Open Market Committee
FOMCは米国の「物価安定」と「雇用改善」を目標にしています*2。失業率や雇用者数、インフレ率などをもとに米国の経済情勢を議論し、米国の政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)レートの誘導目標など公開市場操作(オペ)の方針を決めています。FFレートは米国の民間銀行が短期資金を貸し借りする際に適用される金利のことです。
*2:「米国雇用統計」とは?世界景気を先読みする重要指標、FRB政策金利の判断に
この政策金利は銀行の貸出金利や社債金利、為替レート、株価などに波及し、結果として家計の消費や企業の設備投資などあらゆる経済活動に「ドミノ倒し」のように影響を及ぼします。基本的に政策金利を下げれば、銀行が企業や個人に資金を貸し出す際のローンの金利などが下がり、借金をして企業なら設備投資をしたり、個人なら住宅や自動車を購入したりして、世の中に出回るお金が増え、景気が上向き物価も上昇します。政策金利を上げれば、この逆のことが起き、需要が弱まり、インフレを抑制する動きにつながります。
FOMCは基本的に約6週間ごとに年に8回開催されます。FOMCは米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長のほかFRB理事、米国にある12の連邦準備銀行の総裁など合わせて12人が参加します。インフレを抑える金融引き締めに積極的なスタンスのメンバーを「タカ派」と呼び、逆に景気への配慮を重視し金融緩和的な政策を好むメンバーを「ハト派」と呼びます。それぞれのメンバーの発言や姿勢の変化が市場から注目されるほか、会合の3週間後に公開される議事要旨は今後の金融政策を見通す上での手掛かりとなるため、市場関係者などから関心を集めています。