![ドバイのホテルで筆者のインタビューに応じる浅井將雄氏(筆者撮影)](https://jbpress.ismcdn.jp/mwimgs/5/e/600mw/img_5e69d2645f58f39b108cf52944fcc2aa2795053.jpg)
(国際ジャーナリスト・木村正人)
[ドバイ発]アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で世界最大級の債券ヘッジファンド「キャプラ・インベストメント・マネジメント」(ロンドン)共同創業者でESG投資にも詳しい浅井將雄氏に日本の気候変動政策、植田日銀の金融政策正常化や米国の長期金利についてインタビューした。
日本の自動車産業、ガラパゴス化のリスク
――岸田文雄首相がCOP28で表明した気候変動政策についてどう思うか。
浅井將雄氏(以下、浅井) 国家首脳として、暫定参加者数が史上最高の10万人超に達したCOP28という国際舞台を利用しない手はない。岸田首相は2030年度に温室効果ガスを13年度比で46%削減、さらに50%の高みに向け挑戦するという野心的な目標を掲げている。
しかし世界的に環境対策の2つの大きなファクターになっている自動車と電力に対するアプローチに野心がないのが残念だ。
![12月1日、COP28で演説する岸田文雄首相。この演説内容が理由で、2日後、世界の環境団体でつくる「気候行動ネットワーク」により、環境対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」に日本が選ばれた(写真:筆者撮影)](https://jbpress.ismcdn.jp/mwimgs/9/3/600mw/img_93be08a48cca466c6be3201b26bed88310954014.jpg)
トヨタ自動車はハイブリッド車を作ってきた素晴らしい技術がある。日本に不利なようにルールが変更されたという声もあるが、一方でハイブリッドもある、水素もあると言って電気自動車に直行しなかったのも事実だ。
日本の産業界で東証一部の株式時価総額の1割が自動車関連で、従業員に占める割合も約1割だ。
日本政府も35年には新車販売の100%を電気自動車にする目標を掲げるが、この競争で世界に置いていかれると日本の自動車産業をガラパゴス化させるリスクがある。中国の電気自動車メーカーは100社を超え、もの凄い競争が起きている。
ディーゼルに力を入れてきたドイツも電気自動車の遅れを取り戻そうとしている。米国ではGMもテスラに後塵を拝している。
30年までに46%削減という目標を達成するための大きな課題の一つが自動車で、政策イニシアチブをどのように持っていくか抜本的な意思決定が必要だ。