ソウルの従軍慰安婦像ソウルの従軍慰安婦像(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

 李容洙(イ・ヨンス)さんら元慰安婦およびその遺族16人が日本政府を相手どり損害賠償を求めた裁判の控訴審で、ソウル高等法院(高裁)は11月23日、一審判決を覆し、原告1人あたり2億ウォン(約2300万円)の請求金額を認めた。

 控訴審の結果は、被告側の日本政府が対応しなければ、そのまま確定される。慰安婦側の代理人を務めている民弁(韓国の弁護士団体「民主社会のための弁護士会」)の弁護士は、「強制執行などの手続きについても(可能性が)開かれている」とした。

 日韓関係改善のために努力してきた尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権にとっては、元徴用工賠償問題に続き、元慰安婦問題が再び悪材料として浮上する可能性が高くなった。

「主権免除」を認めず

 今回の裁判は、李容洙さんなどの慰安婦らと正義記憶連帯などの関連団体が朴槿恵(パク・クネ)政権の2015年日韓慰安婦合意に強く抗議し、「和解・癒し財団」からの資金支給を拒否して起こしたものだ。2021年4月の1審判決では「現時点で、主権免除に関する国際慣習法、最高裁判所の判例による外国人被告(日本国)に対する主権的行為の損害賠償提訴は許容できない」として国家免除原則を適用し、原告側の訴訟を棄却していた。

元慰安婦の李容洙さん元慰安婦の李容洙さん(写真:AP/アフロ)

 だが、2審を引き受けたソウル高裁の民事33部裁判部は、1審裁判部とは異なり、「主権免除」原則が認められないと判断した。裁判部は「国際慣習法上、国家(主権)免除の原則は絶対的免除が適用された過去とは異なり、最近は行為によって例外を認める制限的免除に変更されている」と強調。

 続いて、国連・欧州国家免除協約や米国・英国・日本の国内法、ブラジル最高裁判所・ウクライナ最高裁判決などの判例を示し、「日本の行為は韓国領土で韓国国民に対して行われた不法行為であり、日本の国家免除を認めないことが妥当」と判断した。