(国際ジャーナリスト・木村正人)
COP28議長を務める国営石油会社CEO
[ドバイ発]11月30日~12月12日、世界屈指の産油国・アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれる国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)はいきなりサプライズで幕を開けた。
昨年、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されたCOP27で合意した異常気象による被害に対処する「損失と損害」基金の中身が決まり、最初のわずか1時間で計4億2000万ドルもの拠出が表明されたのだ。
前回のCOPでは、先進国と途上国の意見の対立などから、基金にどの国がいくら拠出するのか、その基金がどのように運用されるかについて何も決まらなかった。それが今回のCOPでは瞬く間に4億2000万ドルの拠出が約束された。
英紙ガーディアンのまとめによると、UAEとドイツが各1億ドルを基金に拠出することを表明すると、欧州連合(EU)が1億4500万ドル、英国が7500万ドル、米国が2450万ドル、日本が1000万ドルの拠出を次々と約束した。日本の表明額が少ないのは同じ交渉グループに属する米国に足並みをそろえたと筆者はみている。
COP28議長を務めるUAEのスルタン・アル・ジャベール産業・先端技術相は「基金の運用に最低でも2億ドルが必要と考えていた。これから数日間、各国政府や首脳によってさらに多くの誓約やコミットメントがなされるだろう」と大胆不敵な笑みを浮かべた。