(舛添 要一:国際政治学者)
大阪・関西万博の開幕まで500日となった。しかし、建設費の高騰、参加国パビリオンの建設遅滞など問題が噴出し、予定通りの開幕が危ぶまれる事態になっている。開催中止を求める声も大きくなっている。東京五輪と同じような展開である。
東京五輪を巡る不祥事
IOCは、11月29日にパリで理事会を開き、冬季五輪について、2030年はフランスのアルプス地方、2034年はアメリカ・ユタ州のソルトレークシティーを優先候補に決めた。また、2038年はスイスに優先権が与えられる見込みである。そのため、札幌誘致は、2042年前には絶望的になった。
このような結果になった原因には、東京五輪を巡る汚職・談合事件がある。国民は五輪の誘致に対して批判的になっており、札幌開催への支持は低下している。
東京五輪を巡る贈収賄事件や入札談合事件は、私が2016年6月に都知事の職を辞してからの話であるが、大会の準備に努力した者としては極めて残念である。
入札談合について言えば、五輪の準備期間が限られている中で、組織委員会や電通などの運営会社にしてみれば、各競技施設の担当運営会社をきちんと決めねばならないので、経験豊富な会社が実績のある分野の競技を担当するように仕切る。その結果が割当一覧表となったのであるが、競争がない随意契約であれば、受注企業の儲けを増やすために、契約額を上げることになる。それは独占禁止法違反であり、官製談合である。