(舛添 要一:国際政治学者)
イスラエル・ガザ戦争は、11月22日、アメリカやカタールの仲介で、4日間の戦闘停止と引き換えに人質50人を解放することでイスラエルとハマスが合意した。ガザでの戦闘休止は、24日午前7時(日本時間午後2時)に開始され、午後4時(同午後11時)からは、まずハマス側がイスラエル人の女性と子ども13人を含む人質24人を解放。イスラエル側も、刑務所に収容されていたパレスチナ人39人を釈放した。
そのような中で、今回の戦争についての発言で著名人が指弾されるなど、言論の自由すら奪われるような深刻な事態となっている。
ハマスの奇襲攻撃は批判されねばならないが、イスラエルの報復によって多数の民間人が犠牲になっていることも問題である。
「反ユダヤ主義」と批判された女優
実際に、戦争は情報合戦の様相を呈しており、戦場の写真や動画が、フェイクも含めて世界のテレビやSNS上で拡散されている。ガザの病院、難民キャンプ、学校などがイスラエル軍によって攻撃され、傷ついた女性や子どもの姿が映し出される。イスラエルに対する抗議の声が世界中から上がるのは当然である。
一方、1200人のイスラエル国民がハマスに虐殺された悲惨なシーンはあまり伝えられていない。伝えられているのは、人質の救出を待つイスラエルの人々のデモ行進やイスラエル軍の戦果である。
情報操作の点では、国際世論へのアピール度は、パレスチナ側が優位に立っている。そのため、戦争の発端がハマスのテロ行為だったことが忘れられている。