11月16日、サンフランシスコで開催されたAPEC2023に出席した中国の習近平国家主席11月16日、サンフランシスコで開催されたAPEC2023に出席した中国の習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ)

 50人の人質解放と、4日間の停戦の「交換」――イスラエル・ハマス紛争が、10月7日以来、初めて一時的にストップした。紛争当事者の間に立ったカタールと、そのバックで差配する米ジョー・バイデン政権の外交の賜物と言える。

 ところが、そうしたアメリカ外交に、めらめらとライバル心を滾(たぎ)らせているのが、中国である。

イスラム教国の外交トップを北京に集めて会議

 習近平(しゅう・きんぺい)主席は先週、アメリカに乗り込んで、強気強気の「習近平新時代の大国外交」を披歴した。サンフランシスコAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会合(11月16日~17日)、ジョー・バイデン米大統領との米中首脳会談(15日)、岸田文雄首相との日中首脳会談(16日)などだ。

 習主席は、一連の派手な外交活動を終えて、北京時間の19日午後に帰国したが、休む間もなく、「次の大国外交」に乗り出した。それは、アメリカに負けず劣らず中東和平に貢献し、存在感を見せつけることだ。中国的に言うなら、「中国・中東運命共同体」の推進である。

 まずは11月20日、中国外交トップの王毅(おう・き)党中央政治局委員兼党中央外交工作委員会弁公室主任兼外相が、イスラム教国側の代表者たちを北京に集めて、イスラエル・ハマス紛争の対策会議を開いた。具体的には、サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハン外相、ヨルダンのアイマン・アル・サファディ副首相兼外相、エジプトのサミス・シュクリー外相、インドネシアのルトノ・マルスディ外相、パレスチナのリヤド・アル・マリキ外相、イスラム協力機構のターハ・ヒセイン事務総長らである。

11月20日、イスラム諸国の外交トップが北京に参集し、イスラエル・ハマス紛争の対策会議を行った。前列中央がホスト役を務めた王毅氏11月20日、イスラム諸国の外交トップが北京に参集し、イスラエル・ハマス紛争の対策会議を行った。前列中央がホスト役を務めた王毅・共産党中央政治局委員兼外相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)