東京五輪についてきっちり検証してから大阪万博の開催を決めるべきではないか(写真は2021年7月21日東京五輪開会式、写真:ロイター/アフロ)

 10月11日、札幌市と日本オリンピック委員会は、正式に「2030年札幌オリンピック招致を断念」と発表しました。

 背景の一つに、大阪万博不調の報道と、それによって道民の反対が広がった経緯などもあるようです。

 力学には作用反作用の法則があります。

 それと同じように札幌五輪断念を期に、大阪万博も見直すべきではないか、というのが本稿の趣旨になります。

四面楚歌の「大阪万博」

 しばらく前になりますが、何ともはやな全包囲状況を目にしました。

 日本経済新聞がヘッドラインを打って、「日本共産党大阪府委員会」が「万博中止を求める声明を発表した」ことを報じたのです。

 あえて言えば、日経は中道ないし体制側の見解を報じる場合が少なくない、ソロバンに則して合理的なメディアだと思います。

 その日経が「共産党大阪府委員会」の声明として「会場建設費の上振れや建設準備の遅れなどを指摘し『国民が物価高で生活にあえぐなか、事業をやめなければ負担をさらに強いられることになる」と報じている。

 そのうえで「運営主体の日本国際博覧会協会(万博協会)が発注するメイン会場やパビリオンなどの建設費は政府と大阪府・市、財界が3分の1ずつを負担する仕組みだ。当初1250億円と計画していたが、デザイン変更などで2020年に1850億円に増額(中略)さらなる上振れ懸念も出ている」と、日経らしく数字を押さえます。

 他方、日本共産党側の発表を確認してみると、こちらもまさに共産党らしく「理念を見失った開催は中止を」とスローガンが冒頭にある。

 また別の意味で共産党らしいと思いますが、国会質問同様、ヒトものカネの流れを押さえて次のように指摘しています。