(国際ジャーナリスト・木村正人)
2024年は歴史上最大の選挙イヤー
[ロンドン発]2024年、世界人口の半分以上、40億人超を擁する76カ国で選挙が行われる。米国やロシアの大統領選、欧州連合(EU)の欧州議会選、インド、インドネシア、メキシコの総選挙、全国規模のブラジルやトルコの地方選…。英誌エコノミスト(11月13日付)は「24年は歴史上最大の選挙イヤーになる」と指摘する。
そして世界中で「極右」の嵐が吹き荒れそうな気配が漂い始めている。
言論や結社の自由など民主主義の前提条件を欠く国も少なくないが、エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの民主主義指数(22年版)で9位に位置づけられる最も成熟した自由民主主義国家の一つ、オランダの総選挙で激変が起きた。難民・移民阻止を唱える極右ポピュリスト、ヘルト・ウィルダース氏率いる自由党(PVV)が歴史的大勝利を収めたのだ。
米ハーバード大学ケネディ行政大学院のピッパ・ノリス講師(比較政治学)はX(旧ツイッター)にこう投稿した。
「ウィルダースのことを“オランダのドナルド・トランプ”だと主張する人々は歴史を取り違えている。ウィルダースがPVVを結党したのは06年。トランプが15年に黄金のエスカレーターを降りる9年前だ。トランプこそ米国のウィルダースなのだ」