強者が弱者をいじめる暴力は「笑い」か?
さて、10代の松本人志たちが横山やすし師匠に「あんたら2人は悪質な笑いや」と言ったのは、どんなものだったか?
文字面だけ見ると「立場が弱い子供」が「お父さんお母さん」などの「親」に逆襲するという「日常価値の転換」のようにも見えるプロットではあります。
ところが実際に扱っているのは、
それが日常なのだから、ちっとも価値など転倒しない。
松本人志は、
実際、録画でもスタジオの客席は全然沸かない。
むしろ「親なんかつけあがらせとったらあかんで」
横山やすしの横綱相撲で、これをもって「
しかし、1980~90年代のテレビは「強いものが弱いものをいじめる」式の「芸」が市民権を得ていた面がありました。
典型的なのは「熱湯コマーシャル」など、本当に体に熱さや痛みを感じる局面に、いつも「やられ役」が定番化した。
「いじられキャラ」「リアクション芸人」などと呼ばれるタレントが登場、定着していきます。
具体名を挙げるなら「だちょう倶楽部」の故・上島竜平(1961-2022)、出川哲朗(1964-)といった人々がお茶の間に定着するのと前後して「弱い者がひどい目に遭う」シーンが画面でありふれていったように思います。
しかし「捨丸・春代」の舞台ですら、いちど刺激に慣れてしまうと、
「芸」