2023年末の12月26日号「文春オンライン」で報じられた吉本興業のタレント「松本人志」に関する報道で、世間やテレビ界隈は騒然としている様子です。
私が思い出すのは東日本大震災直後の2011年8月、やはり吉本のお笑いタレント「島田紳助」の暴力団との黒い交際報道で芸能界引退がニュースになったタイミング。
あのときは民主党政権が地震と福島第一原子力発電所事故直後で大揺れに揺れており、菅直人政権が「野党自民党」と猛攻猛守の最中にもかかわらず、報道と世間の注目は「紳助」一色となりました。
見事に菅直人→野田佳彦内閣への交替といった話題はトップラインから後退していきました。
今回の芸能ネタも、年末から年明けにかけて報じられていた「パーティ券疑惑」などの政治向きの話題、特に柿沢未途議員逮捕などの報道ははるかに後退してほとんど見えません。
私も、20世紀のことではありますが、テレビ番組制作に一クリエーターとしてかかわっていましたので、最前線の現実をつぶさに目にしながら歴史は繰り返すと思うばかりです。
今回は、この煙幕の方、芸能ネタで話題になっているテレビ業界の暗部に関連して、書ける範囲のことを書いてみたいと思います。
バブル末期のテレビ業界
私は1990年に出光音楽賞というものをもらったのが機縁で、1991~99年にかけてテレビの仕事を音楽屋として受けていました。
21世紀に入ってからもコメンテーターなどしていた時期はありますが、番組制作にかかわったのは1997~99年にかけて「新・題名のない音楽会」の監督を務めていた時期がメインです。
そう長くこうした仕事をしていたわけではありません。
それでも1990年代、特に後半、景気が後退し、またインターネットが登場成長し、「もう少しするとネットも動画配信するようになるから、本格的にテレビは終わるのでは・・・」といった危機感がささやかれていた頃の現場は、よく覚えています。
私が作っていたのはテレビ朝日の音楽教養番組でした。