ハイレベルなサービスを求める保護者

 Fさんの予備校は医学部に特化したことで有名な大手。

「ウチの予備校は面倒見の良さを売りにしています。最近の親御さんはマメに指導が受けられることを重視する。保護者面談を毎月やって欲しいというご家庭も多くて」

 その代わり、Fさんの私生活は犠牲になった。

「生徒や講師のサポート、保護者面談や営業など、予備校の裏方全般を引き受ける激務で、帰宅は朝の3時という毎日でした」

 Fさんは保育園と小学校に通う二人のお子さんと、顔を合わせる暇もなかった。

「子どもとの時間がまったく取れない。気が付けば子どもが成長している。こんな人生でいいのかと疑問を感じるようになって」

 45歳を過ぎたころ、Fさんは予備校の社員を辞め、独立してフリーになることを決意する。

「幸い、勤め先の予備校が合格判定システムの構築などを引き続き任せてくれることになりました。ほかに、教育アドバイザーとしてライバル予備校での講演やコンサル、医学部進学のサイトやガイドブックの執筆の仕事ももらえたので、フリーになっても路頭に迷うことはありませんでした」

 ただし、それまでの年収800万円からは減収になる。そんな時、とある大学の医学部の教授から、思わぬオファーをもらう。

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