10年ほど前に流行した「街コン」(写真:共同通信社)

 少子化・高齢化・晩婚化ニッポン。迫りくる老い、平凡でストレス過多の日常、そんなおじさんの心に舞い降りた恋は、果たして地獄か楽園か。さまざまな中高年男子の恋模様を通して、人生100年時代の恋について考えてみよう。

(若月 澪子:フリーライター)

 生涯未婚率は上昇し、独身者は「いい出会いがない」と天を仰ぐ。人の絶望に商機あり。

 婚活ビジネスの需要は年々増加し、まだまだ伸びしろがあるといわれる。今や独身者の二人に一人が、婚活パーティーやマッチングアプリなどの婚活サービスで恋人を作る時代だ。

【参考資料】
マッチングアプリの動向整理(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
婚活実態調査2023(リクルートブライダル総研)

 関西圏在住のマスオさん(42)は、10年以上前から200回ほどの「街コン」運営の副業をするかたわら、自身も街コンに参加して結婚相手を探すという「二刀流」で婚活に関わってきた。

「街コン」は10年ほど前に流行した恋活・婚活パーティの一つだ。賑わいの消えた商店街を活性化するため、男女の出会いの場として地域の飲食店を活用してもらう試みで、全国各地で開催されていた。

 ブームになった2013年ごろには商店街や町をまるごと街コン会場にし、参加者100~500人規模で開催される大がかりなものだった。

 会社員のマスオさんも本業のかたわら、月1回のペースで街コンを企画していた。

「もともと友達とわちゃわちゃするのが好きというのもありますが、地域おこしに貢献できるという点でも、やりがいを感じていました」

 街コンの企画はこのような流れだ。

 まず商店街にあるお店に、提示した予算で席やドリンク、おつまみを提供してもらえるか交渉。集客は掲載料無料のネットの婚活パーティー専門サイトを利用する。あとは当日、お店で幹事役を務めてくれるスタッフを数名集めるだけ。

 会費の設定を間違えなければ、かなりの利益が出る。マスオさんはこの街コンの副業で、最高で月40万円、平均でも月10~15万円ほどの副収入を得てきたという。

中にはお寺で開催される街コンもあった(写真:共同通信社)

 しかし、街コンブームはすぐに下火になった。