年を取れば取るほど、敗者が「婚活」に投じるコストは増えていく(写真:アフロ)

 おじさんの恋は気持ち悪い。そして切ない。

 少子化・高齢化・晩婚化ニッポン。迫りくる老い、平凡でストレス過多の日常、そんなおじさんの心に舞い降りた恋は、果たして地獄か楽園か。さまざまな中高年男子の恋模様を通して、人生100年時代の恋について考えてみよう。

(若月 澪子:フリーライター)

婚活アドバイザーの本音

 独身おじさんには、厳しい季節の到来だ。実家に帰省したとたん襲来する、家族や親戚からの「いつになったら結婚するの?」の台風7号、8号……。

 現在、40~50代の中高年男性の未婚者の割合はおよそ3割。これは20年前の1.5~2倍の数字だ。もちろん結婚しなければいけないわけでも、結婚が幸せを保証してくれるわけでもない。周囲の無神経な催促はスルーしておけばよい。

 でも、「結婚したいけれどできない人」も増えているとすれば、それは悲しむべきことである。では彼らは、なぜ結婚が難しいのか。

年齢階級別未婚率の推移(厚生労働省)

 菊池舞(仮名)さんは、全国に数万人の会員を持つ結婚相談所の関西の支店で婚活アドバイザーとして働く30代女性。今、彼女の頭を最も悩ませているのは、中高年の男性会員の見合い相手のセッティングである。

「当社に登録している40歳以上の男性のほとんどは、オブラートに包まずに申し上げると、『少々難あり』『難あり』のどちらかです。そもそも、自分でお相手を見つけられる人は、結婚相談所に登録いたしません」

 いきなり手厳しいお言葉。

「おせっかいおばさん、おせっかい上司」が絶滅した今、恋愛市場は残酷な自由競争社会になっている。男女に見合いをさせ結婚の機会を平等に与える、昭和までの“共産主義社会”とはまったく違う様相だ。

 年収が低い、性格とコミュニケーションに難あり、ママの言いなり……などの男性は激しい競争に敗れていく。

 そして、この「勝敗」が決まるデッドラインは、晩婚化と言われる現在でも、実は男女ともに25歳ごろである。