まずは婚活に参入する前の予備校が必要

 そしてついに、結婚相談所内の「お見合いルーム」で1時間のお見合いが実施される。終了後、それぞれにお断りか継続かを確認して1回目は終了だ。

 中高年男性のほぼ9割が2回目の継続には進めないという。

「結婚相談所を利用される中高年男性は、とにかく保守的なタイプが多い。女性と付き合ったことがない、何を話せばいいのかわからない、女性の価値観がまったく理解できないのです。そもそも何を言っているのかよくわからない方も多い」

 話を聞いていると、舞さんが見てきた中高年男性は、仕事でも困難を抱えている人が多いのではないかと感じる。

「大いにあると思います。コミュニケーションが下手な方ばかりですから、仕事の場でもそうではないでしょうか」

 これでは結婚どころか、まず人と会話する「練習」が必要なのかもしれない。

「そうなんです。結婚相談所に進む前の、予備校があってもいいと思うくらいです」

 独身おじさんの苦境を聞いていたら、こちらまで切なくなった。

今から70年前の結婚相談所。結婚を求める男女からの問い合わせで予約が一杯(写真:共同通信社)

 改めて言うが、結婚は早ければいいわけでもないし、結婚が幸せを保証するわけでもない。結婚という閉じられた世界で、不幸が増大するケースは身近にも多々見られる。

 でも、年収が低く、コミュニケーションが苦手な男性には圧倒的に不利な自由恋愛という競争社会。それを思うと、当事者に選択の余地を与えないかつてのお見合い結婚は、昔の人が知恵を絞りに絞った方法の一つだったのかもと思えてくる。

 いやそもそも、多くの不幸も生んでしまう「結婚」制度そのものが、間違っているのかもしれないが……。