中高年マッチングの「無理ゲー」

 舞さんが勤める結婚相談所の入会システムは、このようになっている。

 登録には審査があり、男性は独身証明書と年収証明(源泉徴収票等)の提出が必須だ。

「年収には制限があり、年収300万円以下の方はお断りいたします。生活が成り立たなければ、結婚相手としてご紹介はすることは難しいので」

 ちなみに、舞さんが勤める支店で、男性の年収のボリュームゾーンは300万~400万円だという(これは男性の全国平均年収・年収最頻値よりも低い)。

「高年収の人が少ないというのが私の印象です。中高年男性でもそれくらいの年収です」

 高額な結婚相談所に加入するからといって、会員の年収が高いとは限らない。男性の婚活は年収が低いほうが不利なため、むしろ高年収の男性のほうが高額なサービスは不要という現実がある。

 また、舞さんの結婚相談所では、入会金の金額によってお見合いができる回数が変わる。

 最も高い入会金は30万円で、週に1回の「お見合い」が保証されるコース。それより下は20万円、15万円、10万円、5万円のコースがあり、金額が下がるに従い、お見合い保証の回数が減っていく。

 会員は膨大な会員データの中から、お見合い相手を選ぶことができる。ただし、相手がOKしなければ、お見合いには進めない。確実にお見合いを実施するには、高い入会金を支払う必要がある。

「40歳以上の8~9割が、最も高い30万円のコースを選択します。お見合い相手を指名しても、断られやすいからです」

「保証」されたお見合い相手は、舞さんたち婚活アドバイザーが選定する。しかし、中高年男性の見合い相手の選定が、かなりの「無理ゲー」なのだという。

「会員のみなさまには入会時に、相手に求める条件を挙げていただきます。ただ、女性会員は『年収500万円以上』を希望する方が多いため、当てはまらない男性をどうおすすめするかで苦悩します。また中高年の男性会員は『親と同居を希望』『年齢は35歳まで』と、これまた難しい条件を求めてくる方が多く、両者のミスマッチが激しい」

 というわけで、舞さんたち婚活アドバイザーは、まず「相手に求める条件を緩和させる」ことが仕事になる。