格差社会が広がる中で、ウェルビーイングな生き方、幸福度が注目されている。民間シンクタンクが公表している都道府県別の幸福度ランキングは有名だが、実は昨年から茨城県が独自の調査を実施している。「いばらき幸福度指標」に基づく調査・分析を行っているのだが、その結果が12月上旬に公表された。いったい、どんな内容になっているのか。ジャーナリストの山田稔氏が詳細を検証した。(JBpress編集部)
茨城県が独自に調査した「いばらき幸福度指標」とは?
茨城県が今年12月に発表した「いばらき幸福度指標」は、公表されている政府統計などを基に客観的指標で「幸福度」を定量的に把握したもの。「豊かさ」「安心安全」「人財育成」「夢・希望」の4カテゴリーごとに、1人当たり県民所得、健康寿命など全部で42の統計データを採用した。
そして、これらの統計値を標準化変量(平均値からどれだけ離れているかの数値)に変換し、全国47都道府県で比較した。日本総合研究所が2年に1度公表している「全47都道府県幸福度ランキング」の算出方法に準拠している。
まずは気になる結果を見てみよう。茨城県の今年度の全国順位は13位(標準化変量は2.64)で、初めて行った昨年度の10位に比べてわずかに順位を落とした。カテゴリー別では「豊かさ」5位、「安心安全」40位、「人財育成」15位、「夢・希望」11位となっている。
全国順位のトップ10は以下の通りだ(数値は標準化変量)。
(1)東京都/13.28
(2)神奈川県/7.34
(3)埼玉県/7.13
(4)千葉県/5.31
(5)大分県/5.12
(6)静岡県/4.89
(7)石川県/4.80
(8)愛知県/4.54
(9)長野県/4.22
(10)富山県/3.64
人口約1400万人の首都・東京都が断トツで、首都圏が上位を占める結果となった。日本総研の幸福度ランキングで5回連続1位に輝いている福井県が名を連ねていないのが意外だが、同ランキングで2位の石川県、3位の東京都、4位の富山県、5位の長野県といったところは「いばらき版」でもトップ10に入っている。
茨城県の採用統計データが42であるのに対し、日本総研の採用統計データは80と倍近い。高評価のデータが採用データに含まれているかいないかで、結果は異なってくる。福井県の場合はそうした事情があるのだろう。