※近江鉄道線「血風録」シリーズの過去記事は、最終ページにリンクがあります。あわせてお読みください。
(土井勉:一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長)
1.「報告書」に対する沿線自治体の反応
手を打たねば、近江鉄道線の営業損失は膨らんでいく。バスに転換すれば、初期投資に30億円ものコストがかかるうえに赤字の解消には至らない。BRTやLRTへの転換も、またしかり。とあらば、公有民営方式(上下分離方式)に切り替えての鉄道存続はどうか――。
一般財団法人地域公共交通総合研究所(以下、地交研と略す)が、滋賀県の委託を受けて作成した近江鉄道線の再生に関する報告書「地域公共交通ネットワークのあり方検討調査報告書」(以下、報告書と略す)には、こんな方向性を促す調査結果が記されていた。
報告書の詳しい内容は、【近江鉄道線「血風録」⑦】で紹介した通りだ。
では、この報告書を滋賀県や沿線市町はどう受け取ったのか。報告書が示された2019年3月の「近江鉄道線地域公共交通再生協議会設置準備調整会議」(後に、近江鉄道線活性化再生協議会と改称。任意協議会と略す)で出されたさまざまな意見1)を紹介したい。