鳥塚氏は、「レストラン・キハ」(写真)など数々の仕掛けでいすみ鉄道の名前を全国に知らしめた(写真:池口 英司、以下も)

苦境にあえぐローカル鉄道の存続が危ぶまれている。廃止を避けたい地元や住民の声があるなか、収支だけを見て判断するのは妥当なのか。公募により社長に選ばれたいすみ鉄道(千葉県)でムーミン列車やレストラン列車などを走らせて路線の知名度を一気に高め、現在は、新潟県のえちごトキめき鉄道の社長を務める鳥塚亮氏は、昨今のローカル線を巡る議論に異を唱える。「アイデアマン」として知られる鳥塚氏が語るローカル線の課題と復活のアイデアを、3回に分けて紹介する。

(池口 英司:鉄道ライター・カメラマン)

JRもそろそろ変革が求められる時期に

──いま、地方の鉄道は長引く不況と、コロナ禍に襲われ、大変に苦しい状況にあります。そのような中で、地方の鉄道が利用客の増加、利便性の向上、地域の活性化のために何をするべきなのか? とても難しい問題に直面しているように感じます。

鳥塚亮・えちごトキめき鉄道社長(以下、鳥塚氏):日本の鉄道の歴史を振り返ると、全国の鉄道を一元管理する組織は、だいたい30年を周期として、変革の時期に差し掛かっているように思われます。

 鉄道院、鉄道省、国有鉄道。これらの組織は30年で姿を変えている。JRも発足して30年を経過しました。そろそろ変革が求められる時期に差し掛かっているのかもしれません。

──曲がり角に来ている?

鳥塚氏:今のJR各社の社長、あるいは重役の諸氏は、だいたいまだJRが発足する前に日本国有鉄道に入社した「国鉄最終組」です。

 国鉄という組織を経験している人は、もともとは同じ仲間だったという意識があるはずで、横のつながりを大切にしますが、その次の世代の人たちには、そこまでの意識はないかもしれない。そろそろ新しい時代に適応したスタイルを、JRと国が一緒に考えてもいい時期ではないかなと思います。