「赤字でもいい。乗客が少なくてもいい」と市長

鳥塚氏:私はいすみ鉄道で、ある程度割り切ってこの方式を続けました。当時、沿線のいすみ市は、市町村合併で誕生して間もない頃で、知名度は低かった。けれどもいすみ鉄道は多くの人に知られている。私は、「いすみ鉄道を通じて、いすみ市を全国区の存在にします」と、当時の市長に言いました。

──その通りになりました。

鳥塚氏:「ムーミン列車」の運転、国鉄形気動車の運転、レストラン列車の運転など、いくつものプロジェクトを展開したことで、多くの人がいすみ鉄道を訪れ、いすみ市もその存在が全国に知られるようになった。

いすみ鉄道が走らせた「レストラン・キハ」とメイン料理

 その結果として、「赤字でもいい。乗客が少なくてもいい。いすみ鉄道は残すんだ」と市長がコメントしてくれるまでになりました。

──鉄道には、単に乗客を運ぶだけではない力、大きな価値が備わっているということですね。

鳥塚氏:ところが、これでハッピーエンドとはなりません。