60手目には空いているマスがなくなり、(あるいは途中でどちらも打てるマスがない状態になり)そこでゲームは終わります。終了時の石の数が多い方が勝ち、同数なら引き分けです。
60手目に出現する可能性のある状態は、ざっと見積もって 2^61≒2×10^18通り、つまり約200京通りです。途中に現れる可能性のある状態は、約10^28通り、つまり1穣(じょう)通りと見積もられています。
この10^18本に枝分かれしている巨大なツリーは、オセロの全ての棋譜を含みます。あなたがこれまでに遊んだオセロの対局の全部がこの中のどこかに記録されています。全人類と全コンピューターがこれまでにプレイした全対局も、これからプレイされる全ての対局も、この膨大なツリーの(ほんの)一部です。
もしもこの巨大なツリーを暗記しているプレイヤーがいれば、どのような状態の盤面を見せられても、このツリーの中でその状態がどこに位置するか分かって、そこから後の全ての枝分かれを見通して、最善の手を選ぶことができるでしょう。
そのようなプレイヤーは、オセロを「強解決した」といいます。(ちょっと変な日本語です。)
残念ながら、オセロの10^28通りの状態を全て力ずくで計算して強解決するのは、現在の最も速いコンピューターでも、非現実的なほど長い時間がかかるので、不可能です。宇宙がビッグバンで始まってから現在まで、延々とスーパーコンピューターを走らせても、強解決には至りません。
今のところ、強解決が報告されている種々のゲームは、非常に単純なゲームに限られます。
しかしオセロの巨大なツリー全部を暗記や計算しなくても、「ツリー全部を暗記しているプレイヤーならどういう手を打つか(最善の手)」は、もっと短い時間で計算できます。
そして最善の手が分かるならば、オセロというゲームの結果も分かります。ツリーを暗記しているプレイヤーどうしがプレイしたならば、黒の勝ち(先手必勝)なのか、白の勝ち(後手必勝)なのか、それとも引き分けなのかが分かるのです。
あるゲームの必勝法が分かるか、または最善の手を打つプレイヤーの対戦結果が分かったならば、そのゲームは「弱解決した」といわれます。(やはり変な日本語です。)