オセロをどうやって解いたか
滝沢博士の論文『オセロは解けた』は、オセロを弱解決し、常に最善手を打つ神プレイヤーの棋譜を探し当てたというものです。その対戦結果は引き分けでした。
弱解決ということは、ある状態の盤面について、その後にあり得る全てのツリーを計算したわけではありません。途中で計算を打ち切って、それ以降のツリーについてはある種の推測を行ないます。これには、オセロゲームのコンピュータープログラムで広く使われている「アルファ・ベータ法」という手法を用いています。
ただしこの研究では、改良したアルファ・ベータ法プログラムを用いて、これまでに探索されたことのない深さまでツリーを追跡しています。
特にゲームの後半、空のマスが36個になって以降のツリーについては、完全解析を行なっています。この解析の過程でなんと10^18通り以上の状態を調べています。
計算にはPreferred Networks社のMN-Jというスーパーコンピューターが用いられました。社のウェブサイトなどで公開されている情報によると、MN-Jはインテル社のXeonチップなどを搭載し、コア数は合計で1万近くになるようです。(それでも計算量が膨大なため、計算時間は数カ月ほどかかりそうです。)
なお、Preferred Networks社には就業時間の20%を自由に研究に当ててよいという「20%ルール」があって、滝沢博士もその時間を利用してこの研究を行ったとのことです。