久山町が「3つの資本」を増やすワケ
西村町長は2020年10月の久山町長選で初当選した後、久山町が大切にしてきた「環境」「健康」「教育」の三本柱を「環境資本」「健康資本」「教育資本」と捉え直し、それぞれの資本を増やすことに力を注いでいる。
それぞれの資本が増えれば、久山町の魅力が高まり、移住者や企業などさまざまな人が久山町に集まってくると考えているからだ。結果、さまざまなプロジェクトが生まれ、住民の生活が豊かになる。
「先人が築いてくれた資産を元に、新しい久山の価値を生み出していく。それが僕の役割だと考えています」。そう西村町長は語る。

好循環は既に生まれている。
企業との取り組みで言えば、前述したソフトバンクとのCO2「見える化」プロジェクトの他、九州電力と進める森林資源を活用した「Jークレジット」の創出・活用事業や、西部ガスと連携協定を結んだグリーンインフラモデルの構築といったプロジェクトが生まれている。
Jークレジットとは、適切な森林管理によるCO2吸収量をクレジットとして国が認証する制度。グリーンインフラモデルとは、久山町をフィールドに、脱炭素社会の実現や地域の生活環境、地域住民の生活の質を高めるために必要な機能や仕組みを検証し実装していくプロジェクトだ。
地域住民と外部の人の交流を促すための取り組みも始めている。
例えば、2019年4月にオープンした地域交流型シェアオフィス「そらや」。使われていなかった空き家を改修した施設で、「地域交流型」と謳っているように、利用する企業には地域住民との積極的な交流を求めている。
ちなみに、「そらや」という名前は「空き家」という言葉をポジティブに言い換えたものだ。