最上小国川ダムのダム湖内写真。左が通常時、右が今年7月の豪雨の直後
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警察官2人の命を奪った最上川支流の豪雨水害

 7月19日、最上川の支流を訪れた。まさかその6日後の7月25日に、本流の最上川が1日2度の線状降水帯に襲われ、氾濫被害が出るとは考えてもみなかった。

 山形県新庄市では救助要請を受けた警察官2人がパトカーごと流されて命を落としてしまった。報道で見る限りでは、最上川の支流・新田川から田んぼへ溢れた水が、田んぼを横切る市道にほぼ直角に流れ、パトカーはその激流に押されて田んぼへ流されたようだ。水が引いたあと、道路が微妙に他より低くなっている所を激流が流れた痕跡が残っている。

 微妙な高低差が作る激流で犠牲者が出ることは、2020年の球磨川豪雨でも住民が指摘した(3年前の豪雨球磨川水害の教訓、現行のハザードマップだけでは命を守れない【川から考える日本】「治水地形分類図」はなぜ活かされないのか)。

 微地形による激流を軽視すれば命が奪われる。それは、命を守るために覚えておきたいことだ。

 その6日前、私が取材に向かったのは、山形県内の別の支流、最上小国川(もがみおぐにがわ)だ。

 山形県で「母なる川」と呼ばれる最上川は、流域面積(7040km2)が県面積(9323km2)の約8割にも及ぶ。無数の支流が流れ込み、国土交通省と山形県が管理するダムが計13基ある。

 最上小国川は、宮城県に接する北東部から流れているが、2020年に完成した最上小国川流水型ダム(以後、流水型ダム)の集水面積(37.4km2)は最上川流域の0.5%に過ぎない。この流水型ダムのその後の功罪を見に行ったのだ。