証明された「赤倉温泉専用ダム」

 では、せめて今回、流水型ダムは、少しは機能したのか。7月25日の豪雨では、最上町内の観測地点で、史上最大の雨(396mm)を記録。役場によれば7月9日にも豪雨が降ったばかりで、2度続けての記録更新となった。赤倉温泉地区にも避難の呼びかけはしたというが、浸水被害はなかった。

 しかし、赤倉温泉から約16キロ下流、国道47号線沿いの川の駅「ヤナ茶屋もがみ」(以後、川の駅)では、観光客の散策用の吊り橋が流出した。この吊り橋は最上小国川流水型ダムが完成する前の2018年にも流出している。

「流水型ダム完成前の2018年の豪雨でも流出した」と阿部修さんが指差した道の駅駐車場から架けられている吊り橋(7月19日筆者撮影)。この直後、7月25日の豪雨で吊り橋は流失した
拡大画像表示
2024年7月25日の豪雨で、付け根がめくれ上がり流出した吊り橋(清流を守る会7月26日8時頃撮影)
拡大画像表示

 そのさらに2キロ下流の瀬見温泉でも浸水被害があった。最上町役場担当者に聞けば、「瀬見温泉までには他のところから流れてきますから」とこともなげに言う。実際、赤倉温泉から瀬見温泉までに5本以上の枝川が流れ込む。事実上、流水型ダムは赤倉温泉専用ダムだということが証明された形だ。

 では、「魚にも環境に優しい」と宣伝したことはどう検証しているのか。県河川課は、年1回、「最上小国川流域環境保全協議会」(以後、協議会)を開催しており、すべての情報はウェブサイトに載せているという。