家族3人が乗った車がトラックに衝突され死亡した事故現場=5月7日午後、群馬県伊勢崎市 (写真:共同通信社)
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(柳原 三佳・ノンフィクション作家)

飲酒して蛇行運転、そして中央分離帯を乗り越えて…

 2024年5月6日、ゴールデンウィークの最終日に起こった事故は、一瞬にして2歳の男の子と、父(26)、そして祖父(53)、3人の命を奪いました。

 現場は群馬県伊勢崎市の国道17号線。対向車線に飛び出した中型トラックに正面衝突され、原形をとどめないほどに大破した白い乗用車の映像に衝撃を受けた人も多いでしょう。

 事故を起こしたトラック運転手・鈴木吾郎容疑者(69)が自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いで逮捕されたのは、事故から3カ月半の8月20日のこと。『入院していたとはいえ、ようやく逮捕か……』そう思いながらニュースを見ていたのですが、新たに発覚した事実に驚きました。なんと容疑者からは、事故直後の検査で基準値以上のアルコールが検出されていたというのです。

 運送会社によれば、乗務前の呼気検査ではアルコールは検出されていなかったとのこと。つまり、この容疑者は検査をクリアした後、業務でトラックを運転することがわかっていながら酒を飲んでいたことになります。それが事実なら、かなり悪質な行為です。

 その後、テレビやネットでは衝突直前の様子が記録されたドライブレコーダーの映像が繰り返し放映されました。後続車のカメラはトラックが急加速したり、蛇行したりする姿をとらえ、トラックの車室内カメラにはハンドルを握る容疑者の姿だけでなく、衝突直前の本人の声や衝突音も残されていました。それらの映像は、飲酒運転の恐ろしさ、悲惨さを、視聴者に対してリアルに突き付けるものでした。