「まかり間違って過失運転致死傷罪で裁判が開かれることのないように…」

 群馬の3人死亡事故では、被害車との衝突に至るまでのトラックの異常な挙動がしっかり記録されていました。このような運転と「飲酒の事実」をふまえた上で、高橋弁護士はさらにこう指摘します。

「群馬の事件は、直線道路で雨も降っておらず、見通しも良く、人が飛び出してきたような不測の事態もなかったのですから、中央分離帯に激突したり、右・左にハンドルを切ったりすることは、普通だったらあり得ないことです。そして、加害者はかなり酒を飲んでいました。ならば、ハンドルを切り損なって対向車線にはみ出すことは、飲酒の影響と考えるのが常識的であり、危険運転致死傷罪を成立させても、何らムリのない解釈ではないかと思います」

 前橋地検は群馬の遺族に、「捜査を継続する」と説明したといいますが、この先、訴因変更や訴因追加の可能性はあるのでしょうか。

 前出の井上さんはこう語ります。

「まかり間違って、このまま過失運転致死傷罪で裁判が開かれないよう、検察には今回の起訴罪名について考え直してほしいと訴える必要があると思います。そして、世の中的にもこうした判断に対しては、大いに疑問を呈するべきではないでしょうか」

 後を絶たない飲酒運転による重大事故。悲惨な出来事がこれ以上起こらないよう、まずは危険運転致死傷の罪に訴因を変更し、先の最高裁判例を裁判でしっかり検討したうえで、生かされることを願うばかりです。