疑問視されるデータですら「環境に優しい」ことを裏付けられず

 そこで見てみると、影響が見え始めている。たとえば、2024年3月13日の協議会で公開した「環境影響調査報告」を見ると、魚類の優占種として上位3位だったアユが、流水型ダム完成の翌年から3年連続して姿を消している。

 また、環境省や山形県の絶滅危惧種リストに基づいて選定した「重要種」のうち、流水型ダム工事が始まった時点では、7種〜9種毎年見つかっていたのが、完成後は、5種、1種、3種、4種と減り、確認できなくなってしまった種がある。

2020年に完成した流水型ダムの上流側(2024年7月19日筆者撮影)。工事開始後の環境調査結果は公開されているが、開始前の結果は、現在と比較可能な形で公開されていない
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 しかし、この調査の公表の仕方に疑義を唱える声がある。清流を守る会だ。

「県は、調査地点として、流水型ダムの上流側1点と下流側2点の計3点を選定し、3地点で見つかった数を合計して平均値を出している。しかし、ダムの上下流を一緒にしては、正しい影響評価ができない。私たちは、上流と下流を区別して、結果を明らかにすべきだと提案したのですが、県は、協議会の意向を踏まえているとか、乱獲を防ぐためとしか回答しないのです」と阿部さんは述べる。