脱炭素ビジネスの可能性

 連載第1回となる今回は、温室効果ガスを排出する側の中小企業の取り組みをみてきた。データが示すように、温室効果ガス削減の取り組みはまだ十分とはいえない。

 しかし、脱炭素が世界的な潮流となるなか、いわば脱炭素ビジネスと呼ぶべき温室効果ガス削減につながる事業の市場は、今後大きく成長していくだろう。そこで多くの人が思い浮かべるのは、電気自動車や洋上風力発電といった大企業によるものかもしれない。

 だが、そうした最終製品の部品製造やメンテナンスにおいては、中小企業が大いに活躍している。温室効果ガス削減の取り組みは幅が広く、関連するビジネスも多様であるため、分野によっては中小企業が大きなシェアを占めていることも多い。中小企業にとって、脱炭素ビジネスへの参入は社会貢献につながるだけでなく、ビジネスチャンスでもあるのだ。

 中小企業の温室効果ガス削減の取り組みを加速させるための鍵を握っているのは、実は中小企業自身なのかもしれない。そこで次回は、脱炭素ビジネスに挑戦する中小企業について解説する。