コストや手間が中小企業の負担に

 当研究所のアンケートでも、温室効果ガス削減の取り組みを行ううえでの課題として最も多く挙げられたのが「コストが増える」(23.0%)だった(図5)。そのほか、「手間がかかる」(15.0%)、「資金が不足している」(14.1%)、「どう取り組めばよいかわからない」(13.2%)の回答割合が1割を超えている。

図5:取り組みを行ううえでの課題(三つまでの複数回答)
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 当然ながら、企業の経営資源は有限である。物価や人件費が高騰する昨今、ぎりぎりのところでやりくりしている中小企業は多いだろう。

 そんななか、コストや手間がかかるうえ、事業へのプラスの影響も小さい温室効果ガス削減の取り組みを行うのは、そう簡単な話ではない。

取り組みを加速させるために必要なもの

 それでも、日本が温室効果ガスの排出削減目標を達成するためには、中小企業の取り組みが欠かせない。そこで、取り組みを加速させるために必要と思うものについて尋ねたところ、上位五つが「補助金・優遇税制」(21.6%)、「利用しやすい社会の仕組み」(9.8%)、「資金調達での優遇」(9.0%)、「利用しやすい商品・サービス」(8.9%)、「行政・組合・商工団体による支援・情報提供」(8.3%)となった(図6)。

図6:取り組みを加速させるために必要と思うもの(三つまでの複数回答)
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 補助金・優遇税制や資金調達での優遇といった措置は確かに効果的であるが、予算の制約を考えると際限なく行うことはできない。行政・組合・商工団体による支援・情報提供も、全国の中小企業に支援や情報を行き渡らせるには多くの資金や人員が必要となる。

 となると、コストや手間といった経営への負担を抑えながら温室効果ガスを削減できるような、安価で優れた商品・サービスの登場が求められているのではないだろうか。