2024年から投資枠などを拡充した新たなNISAがスタートする(写真:アフロ)

セゾン投信会長を退任した中野晴啓氏による連載「中野晴啓の正しい投資」。第2回は、新たなNISA(少額投資非課税制度)が始まるタイミングで設立する資産運用会社で何を目指すかを語る。

 前回は私がセゾン投信を退任した経緯を振り返りました。今回は、そもそも私が目指してきた「長期・積立・分散」という投資スタイルについて、少し歴史を振り返りながらその意義をお話ししたいと思います。

※第1回:あなたは邪魔…セゾン投信前会長が語る解任劇、クレディセゾンとの亀裂と再起

 ちなみに前回、新たな資産運用会社の設立に向けて準備を進めていると書きましたが、順調にいけば9月にも会社設立の登記申請をします。社名には「中野」もしくは「なかの」を付ける予定です。いろいろな候補が浮かぶ中で、やはり自分の名前を打ち出すことで大切なお金を預かる受託者責任を強調したいと考えました。

 ありがたいことに、大手金融機関から個人投資家まで、多くの方から出資のお声がけをいただいております。セゾン投信時代に株主との関係で悩んだ教訓を踏まえ、しっかりと理念を共有できる方たちに参画いただく計画です。2024年初頭から事業を開始することを目指します。

 2024年から投資枠などを拡大した新たなNISAがスタートします。新NISAは積み立て、長期投資を柱にした制度で、私が資産形成のあるべき姿と考えてきた投資スタイルを力強く後押しするものです。

中野 晴啓(なかの・はるひろ) 中野晴啓事務所代表、セゾン投信前会長CEO 1963年、東京生まれ。明治大学商学部卒業後、87年クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用のほか外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。2006年セゾン投信を設立、07年4月社長、20年6月より会長CEO就任、23年6月退任。(写真:村田和聡)

 新NISAのスタート直前にセゾン投信を追われたことはショックでしたが、理想の資産運用会社をもう一度立ち上げる上では絶好のタイミングでもあります。証券会社や銀行など投資信託の販売会社はNISA口座を開設してもらおうと、あの手この手で施策を打ち始めています。ようやく私が理想としてきた「長期・積立・分散」という投資スタイルを定着させる環境が整ってきました。