「長期・積立・分散」がレッドオーシャンに

 利用者はNISA口座を1つしか持てないので、低コストで多様な投資信託のラインアップを持つ大手ネット証券などに口座開設は集中するでしょう。中堅金融機関の中には、投資信託の販売から撤退するところも出てくるかもしれません。

 新NISAの開始にあたり、顧客獲得競争は激しさを増しています。資産運用会社にとっても、投資信託の内容やその他のサービスで明確に差別化できなければ生き残りが難しくなります。

 セゾン投信を設立した当時は、長期投資を標榜する金融機関はさわかみ投信くらいしかなかったため、市場はブルーオーシャンで新規参入しても個性を打ち出せました。しかし、新NISAを目前に長期・積立・分散という投資スタイルを各社がアピールする中、今やレッドオーシャンの状況です。新会社をどうやって競合と差別化していくかが大きなチャレンジとなります。

 具体的なビジネスモデルについては、まだお話しできる段階ではありませんが、「原点回帰」に勝算があると考えています。つまり、顧客本位で受託者責任を明確にして、生活者の皆さんに安心して投資していただける商品の開発を徹底するのです。

 運用スタイルには、日経平均やS&Pといったインデックス(株式指数)に連動するパッシブ型と、株価の値上がりが期待できる銘柄を独自に選択するアクティブ型があります。このうち、新会社では本格的なアクティブ運用をしていきます。日本株と世界の株式に分散投資する2つのファンドを立ち上げる計画です。

 実績がないため最初から信用は得られません。地道に運用実績を上げていくしかないと考えています。評価を得られるまで最低5年はかかると覚悟しています。

 信頼を得るために、情報開示を徹底していきます。運用担当者の顔が見えるようなサービスを心がけ、ファンドに組み入れている銘柄もタイミングを計りながら全て公開していく方針です。