新NISAで金融庁の監視も強化
来年から始まる新たなNISAは、こうした状況を大きく変えると期待されています。ここで具体的に、新NISAで何が変わるのかを見ておきましょう。
現行のつみたてNISAでは、投資枠が年間40万円、非課税保有期間は20年、非課税保有限度額は800万円です。2014年に始まった一般NISA(年間投資枠120万円、非課税保有期間5年、非課税保有限度額600万円)とは併用できず、どちらかを選ばなければなりません。
一方、新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能になります。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠が年間240万円で、非課税保有期間はともに無期限、非課税保有限度額はつみたて投資枠と成長投資枠の合計で1800万円(うち成長投資枠は1200万円まで)に拡大されます。
特徴は、購入した投資信託を売却した場合、再び他の商品の購入へと投資枠を再利用できることです。現行制度ではそれができませんでした。
ただし、再利用できるということは、何度も買い替えさせることで手数料を稼ごうという動機が金融機関に働きかねません。かつて問題となった回転売買が復活してしまう懸念があります。
そこで金融庁は監督指針を改正し、成長投資枠を使った回転売買への勧誘を厳しく取り締まることを表明しています。非課税の投資枠などを拡大・恒久化することで長期投資を促進させる一方、監督を強化することで金融機関に顧客本位の姿勢を徹底させるというわけです。