生成A Iは体験や現在の流行を実装できない
——福田さん自身、AIコピーライター「AICO」の開発に携わるなど、人工知能とコピーライターの共生を目指してきたと思います。ChatGPTの実力を、どのように評価していますか?
福田:AICOの開発に関わったので、全コピーライターを敵に回しちゃったのかなと思っていたところ、東京コピーライターズクラブさんからこういう取材のお話をいただいて、感動しているところではあります(笑)。
ChatGPTに関しては、特段コピーライティングに特化したプラットフォームではないので、「コピーを書いて」とお願いしても、学級会のスローガンのような、非常に優等生的な答えを返してくる印象があります。例えば、「『新聞広告の日』の自社広告を打つので、新聞広告の未来に関するメッセージを考えてください」と聞くと、「未来への一歩、新聞広告の力」と返してきました。あまりにも優等生すぎます。
そもそも、「面白いコピー」とは何かと考えると、間違いや常識外れなことを内包したメッセージがあるかが重要なんだと思います。世の中の広告で、バズったり、人の心を打ったりしているものは、どれも「優等生」的なものではありませんよね。
一方の、ChatGPTのアウトプットのイメージは「穴埋め問題」の正解を出すというもので、エッジの利いたコピーを書く、という領域には向いていません。誰からも文句を言われない答えを「人間らしく」返すのが、ChatGPTとしては正解とされています。