生成AIは人間らしさも身につけつつある(写真:Jaap Arriens/NurPhoto/共同通信イメージズ)
  • AIに仕事を奪われないために、人間はどうすればいいのか──。その答えの一つとして、コミュニケーションやホスピタリティのような「人間らしさ」を活かした仕事が挙げられる。
  • だが、最新の研究によると、医師よりもChatGPTの方が患者に寄り添っており、心遣いのある言葉を投げかけるということが明らかになった。さまざまな研究において、AIの共感力や説得力が証明されつつあるのだ。
  • これまでAIよりも人間の方が有利だとされてきた、接客や介護といった「相手の心に寄り添う」姿勢が必要な分野でも、どうやら形勢は逆転しつつあるようだ。

(小林 啓倫:経営コンサルタント)

 近年のデジタル技術が進化するスピードには目を見張るものがあるが、中でも著しく進化しているものの一つと言えば、AI(人工知能)だろう。その性能の向上があまりにも急速なために、私たちは慌てて「AIに自分たちの仕事を取られてしまうのではないか」「何が人間の仕事として残されるのか」という議論を始めている。

 もちろん、「自分の仕事が機械化されるのでは」という不安が生じるのは、近年に始まったことではなく、産業革命以降、いくどとなく繰り返されてきた。だが、AIをめぐる雇用喪失の議論で特徴的なのは、その影響の大きさだ。

 今年3月、米国の金融機関ゴールドマン・サックスが発表したレポートでは、「3億人分のフルタイムの雇用が自動化される可能性がある」と指摘している。世界全体での就業者数は33億人と言われており、3億人といえば、その1割近くに相当することとなる。「もしかしたら自分の仕事も」と考えてしまうのも当然だろう。

Generative AI could raise global GDP by 7%(米ゴールドマンサックス)
ILOと労働市場に関する統計100項目(ILO<国際労働機関>)

 それではAIに職を奪われないために、人間の労働者はどうすべきか──。

 その答えとしてよく言われることの一つが、「人間らしさを活かす」というものだ。いくら機械が進化しても、人間らしい心遣いまで簡単に真似されることはないだろう。目の前の相手に寄り添うおもてなしができるのは人間だけであり、したがって接客に力を入れたり、顧客との触れ合いを重視したりすべしというわけだ。

 確かに一理ある議論のように思われる。しかし残念ながら、最近の事例や研究は、これと逆の状況が生まれつつあることを示唆している。